爬虫類飼養管理ワーキンググループについて

こんにちは。ArrowReptilesです。

先日話題になっていた環境省の爬虫類飼養管理ワーキンググループの会議、頑張って3時間全部聞いたので、簡単に内容まとめるのと私見を述べていきますね。

【内容】

①まず、既存の爬虫類業界支持派の病院の先生と爬虫類業界反対派のNPOがそれぞれご意見を表明されました。色んな意見が飛び交っていましたが、、質疑応答を含め、議論になっていたのは「プリンカップによる生体管理の是非」と「即売会イベントのあり方」でした。両者は密接に繋がっているといえば言えますが、即売会イベントは爬虫類に詳しくない人もたくさん来るのに、見た人が問題あると感じる展示方法はよくないのではないか、というような意見が記憶に残っています。

「イギリスでは法令で飼育ケージの最低サイズなどが決まっている」というNPOの話がありましたがそれが本当かどうか次第では今後の議論が引っ張られる可能性も感じましたね。一応「海外がやっているから日本もやるべき、という意見は雑すぎる」という話も出ていましたが、、もしそれが本当に「法令で義務化されたルールで(努力義務などではなく)」、「科学的根拠がある数値」なのであれば議論のベースになっていく可能性はあります。

イギリスの法令(正確には業申請を検査する地方自治体向けのガイダンス)では、トカゲはSVLの4倍の幅のケージで飼育することであったり、蛇はSVLの2/3以上の幅のケージが必要である、などと記載されています。イギリスではボールパイソンは150cmなどのケージに入って販売されているのかもしれませんね。

まあただ、、もしこのルールを叩き台にするのであれば、「犬・猫はなぜこのルールを適用していないのか?」という疑問に回答できないといけないでしょうね。ちなみに犬は5kg以下であれば4平米以上のケージで管理しないといけない、とイギリスのガイダンスには書かれています。日本は体長の2倍以上、と定義されているので明らかにイギリスのガイダンスより緩いです。都合よく爬虫類だけイギリスのルールを参考にするのは論理的に無理があります。

②環境省の役人(たぶん下っ端)が調べて様々な論文から、ボールパイソンやレオパなどの適切な飼育環境について整理していました。

ただこれはまあ、、自分が上司ならお説教ものの雑さでした。いろんな論文並べて「いっぱい調べました!」と言ってるだけの資料でしたね。色々ツッコミが入っていましたが「論文の妥当性はあるのか?」という委員の疑問が全てだと思います。

③フリーディスカッション

論点、という名の「意見募集しまーす」という資料が提示され、各々が色々話していましたが、、正直とっ散らかりすぎて収拾ついていなかったです。

【感想】

環境省が勢いでぶち上げたワーキンググループ感がありますが(第一回の議事録に「チャレンジングであることは認識している」とあったので)、論点がとっ散らかりすぎて今後の議論の方向性が全く見えない会議でした。

提起されている問題がペットカフェの話なのか、移動動物園の話なのか、祭りの屋台の話なのか、ペットショップなのかホームセンターなのか、イベントなのか、、主体もグチャグチャでしたし、何をもって問題と定義するかも不透明な中、とりあえず役人が論文調べて飼育環境として良さそうな環境は何かを調査してみた、という感じでしたね。

今後の議論の方向性は全く見えないですが、飼育スペースに関する議論は今後も続きそうです。具体的には「プリンカップに入れて販売するという販売方式を許容するか」ですね。

素人目には明らかに生体に可哀想、業者目線ではその方が爬虫類を管理しやすい、しかし爬虫類のウェルビーイングという目線では科学的な根拠がどっちにもない、という中ふわふわと議論が進んでいくのではないでしょうか・・というのが予想です。

お役所としては確実に規制を強化する方向では進めると思いますので、落とし所としては明らかに生体にストレスがかかっていそうな、「生体が自由に移動できないサイズでの長時間の展示を禁止する」といったプリンカップでの販売を禁止する方向になるのではないか、、というのが自分の予測ですが、、どうなるのかは見えません。

第3回に引き続き注目した方が良さそうです。

以上、感想でした!


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